仏壇にある位牌はご先祖さまや故人の魂が宿ったお参りの対象です。位牌を通じて私たちは、故人と語り合えるのです。この記事では、位牌の種類や選び方、仏壇に安置する方法などを説明します。
はじめに
浄土真宗を除き、仏壇には、ご先祖や故人の位牌を安置します。
位牌には、葬儀から四十九日まで用いる白木位牌と四十九日の法要以後に用いる本位牌があります。
位牌には、故人の戒名などが記されるので、作るのに2週間ほどかかります。
位牌の種類と位牌の安置方法などについて、いろいろと知っておけば安心です。
今回終活.netでは、仏壇と位牌について以下の項目に沿って解説していきます。
- 仏壇の意味や種類
- 仏壇の安置場所
- 位牌の意味
- 位牌の種類
お時間がない方でも知りたい情報をピックアップしてお読みいただけます。
ぜひ最後まで目を通していただけると幸いです。
仏壇について
仏壇の意味
仏壇は、仏さまや先祖を祀り礼拝するためにあります。
仏像や位牌などを安置して礼拝します。
仏壇の形状
仏壇には礼拝の対象となる仏像などが安置され、家庭にある寺のような働きをします。
そのため、仏壇の形状や安置する仏像などは、宗派によって異なります。
仏壇の種類
仏壇には、その材質やデザインによって、金仏壇や唐木仏壇、新型家具調仏壇があります。
サイズも、たんすの上に置けるような小型の仏壇から大型の仏壇までさまざまです。
金仏壇
金仏壇というのは、杉や檜、松などのに黒く漆塗りをした仏壇です。
金仏壇の内部は、金箔や金粉で仕上げられていて、豪華さや荘厳さがあります。
唐木仏壇
黒壇、紫壇、シャム柿など東南アジアを産地とする唐木で作られた仏壇を唐木仏壇と言います。
新型家具調仏壇
新型家具調仏壇は、現代の生活環境に適したデザインの仏壇です。
畳が敷かれていない洋間に置いてもきれいに溶け込むようなデザインです。
仏壇には床置きと上置きがある
仏壇は床に直接安置するタイプと家具や棚の上に安置できる上置きタイプがあります。
とくに、仏壇は一度安置すると、ほとんど移動することはありません。
しかも、仏壇には予想以上に奥行きがあるので、仏壇を設置する予定の場所を決める場合には、置く場所の奥行きにも配慮しましょう。
仏壇はどこに安置するか?
仏間があれば仏壇は仏間に置きます。
最近は仏間の無い家が増えてきているので、そのような場合には、和室の客間または居間、リビングに安置します。
仏壇は礼拝の対象ですから、人が集まった、落ち着いてお祈りできる環境を選びます。
新規に購入する場合には、家具調デザインの仏壇を選ぶことで洋室にも違和感なく溶け込めます。
仏壇を安置する環境について
仏壇は、普通木造で、長い期間使用することを前提としているので、湿気が少なく、風通しが良いところに安置しましょう。
またさ、直射日光や空調機やエアコンからの風が、直接仏壇に当たることのないような場所に置いてください。
西日なども避けたいので、仏壇は家の北側で南向けに置くのが適当です。
位牌は仏壇の礼拝仏具です
仏壇には、いろいろなお飾りやお供え、仏具が置かれています。
なお、宗派により、仏壇の飾りや構成が異なりますが、一般的に仏具には、一般仏具と礼拝仏具があります。
一般仏具としては、三具足(みつぐそく)と呼ばれる、香炉・花瓶(けびょう)・燭台があります。
香炉では線香をお供えし、花瓶には仏花を生け、燭台にはお灯明としてロウソクを立てます。
位牌は仏像や掛け軸とともに仏具に分類されています。
仏壇の普及
仏壇を一般の家庭にも置くようになったのは江戸時代になってからだと言われています。
位牌にはどんな意味がある?
位牌というのは、故人の戒名や俗名が記された木の札のことです。
最近は、木製ではなく、石製のモダン位牌という位牌もあります。
位牌について注意したいことは、位牌は記念碑の意味ではなく、亡くなった故人そのものであるということです。
故人の魂のよりどころであり、お盆などには位牌をよりどころとして故人が自宅に帰ってくるのです。
浄土真宗では位牌を用いません
浄土真宗では、人は亡くなると、すぐに極楽往生すると言うのが教義であり、魂がさまようという概念は当てはまりません。
したがって、魂のより所としての位牌は使わないのです。
この位牌を使わない点については、真宗大谷派でも本願寺派でも同じです。
浄土真宗では、仏壇に位牌はおかず、過去帳や法名軸に名前を書きます。
ちなみに、浄土真宗では戒名はありません、法名といいます。
なお、浄土真宗でも位牌を用いている地域はありますが、これは地方のしきたりでそうなっているにすぎず、浄土真宗では位牌を使わないのです。
浄土真宗の方は、菩提寺にその点を確認しておいてください。
位牌の種類
白木位牌
白木位牌は、葬儀から四十九日の法要まで用いる位牌で、仮位牌ともいわれます。
白木位牌は、仏壇ではなく祭壇に安置します。
そして、四十九日の法要が終わったら、白木位牌は菩提寺に納めます。
なお、一般に白木位牌は、四十九日以降に仏壇に安置する本位牌より一回り大きくなっています。
本位牌
四十九日の法要が終わって、その後、仏壇に安置するのが本位牌です。
本位牌には、戒名などを毛筆で書き込むなどの作業が必要ですから、注文してから完成まで2週間ほどかかることが多いです。
四十九日の法要に間に合うように注文しましょう。
本位牌には、四十九日の法要で菩提寺の住職に魂を入れていただきます。
一般的に位牌だけを安置することはないので、仏壇がない家庭は仏壇をいっしょに用意しておくことが必要です。
素材による位牌の違い
素材による位牌の種類としては、漆を塗って作られた黒漆位牌と黒檀や紫檀といった唐木を材料として作られた唐木位牌があります。
回出位牌
回出位牌(くりだしいはい)は、繰り出し位牌とも書かれます。
何代も長い間仏壇を引き継いできて、仏壇の中に先祖の位牌が増えてきた場合に、複数の位牌を1つの位牌にまとめるのが回出位牌です。
各位牌を名前の書かれた札板に変えて、位牌の数の文だけの札板を作成し、1つの回出位牌に格納します。
普通は、10枚ぐらいの札板を格納することができます。
仏壇と位牌
位牌を新しく作った場合
位牌を新しく作った場合には魂を入れます。
魂が入っていないとただの木製の板だと言うことです。
これを開眼供養(かいげんくよう)といいます。
一般的には、四十九日の法要の時に開眼供養も行います。
仏壇の位牌のデザインと形
実は、位牌の形には規定がありません。
また、一般的に宗派による定めもありません。
浄土真宗では位牌を使わないことに注意が必要です。
なお、地域によって異なる場合もありますから、菩提寺に相談することも必要です。
したがって位牌は安置する仏壇にマッチしたデザインのものを選ぶのがよいでしょう。
最近は、石で作られたモダン位牌というのも発売されています。
仏壇の位牌の大きさ
位牌は仏壇の大きさに、マッチするサイズで考えてください。
さらに、先祖代々の位牌などがある場合は、それよりもすこし小さめの位牌にします。
さらに、本尊が仏壇に安置されている場合には、本尊よりも小型で高さの低いサイズの位牌を選びましょう。
位牌は仏壇のどこに置くのか
位牌は仏壇に安置するのが一般ですが、どこに置けば良いのでしょうか。
仏壇の中心には、本尊がありますので、本尊を隠してはいけません。
そこで、位牌を置くときには、本尊が隠れないように、本尊の左右に置くか、一段低い段の左右に置きます。
なお、位牌がひとつの場合には、本尊の右側に安置するのがならわしです。
夫婦の場合は、複数の位牌を安置するときの方法については、この後で説明していますのでご参照ください。
夫婦で仏壇に位牌を置く時はどうする?
夫婦の位牌については、ひとりずつで2つの位牌を作っても、ひとつの位牌に夫婦二人の戒名を連名で記すこともできます。
夫婦でひとりずつ2つの位牌を作るときは、同じ大きさの位牌を2つ作り、夫の位牌が右側に来るように置きます。
夫婦の名前を連名で記す場合には、夫の戒名を右側に、妻の戒名を左側に記します。
先に夫婦のどちらかが亡くなった場合には
夫婦のどちらかが先に亡くなったような場合には、一人分の名前のスペースを空けた位牌を作ることはしません。
まず、亡くなった方の位牌を作り、その後、夫婦のもう一方が亡くなった際に、連名位牌に変更し、古い先になくなった人の位牌を菩提寺に頼んで処理します。
位牌を二つ以上、複数安置する場合
仏壇に複数の位牌を安置するときは、亡くなった順番に安置してはいけません。
より古い先祖の位牌を、仏壇の上座である右側から順に並べて安置します。
位牌が増えてきた場合
位牌が増えてきて、仏壇に安置する場所がなくなったときの方法として、先に紹介した、回出位牌を作る方法があります。
その他、「○○家先祖代々之霊位」と記したご先祖位牌を、新たにつくる方法もあります。
このときには、故人の戒名が書かれている通常の位牌より少し大きいご先祖位牌を作ります。
位牌はどうやって処分する?
痛んだ位牌は、修理するか、新しい位牌に交換します。
修理については、仏壇店や菩提寺に相談しますが、新しい位牌に変える場合には、古い位牌の魂を新しい位牌にうつす法要をおこないます。
古い位牌は、仏壇店や菩提寺で処分してもらいます。
まとめ
位牌は、記念碑ではなく、故人やご先祖そのものとして礼拝する対象です。
浄土真宗では、位牌を作りません。
また、位牌にはいろいろな種類あります。
仏壇に安置する本位牌を作るには2週間ほどかかるので、四十九日の法要に間に合うように準備しましょう。
また、位牌が多くなってきたときは、回出位牌などでまとめることもできます。
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