脳梗塞になると、その後生命保険に加入することは難しくなるのが一般的です。 でも、病気の怖さやかかる費用を知っているからこそ、またいつ我が身に降るかもしれない病気に備えておきたいものですよね。 そこで、脳梗塞後に加入できる生命保険があるのかどうか調べてみました。
脳梗塞になったけど生命保険に加入したい
脳梗塞は日本人の死因別死亡数にも上位に入る大きな病気です。
脳梗塞の原因は生活習慣の乱れと言われていますが、致死率が高いうえに、前兆がなく突然発症することも多いのが特徴です。
事前に生命保険に入っているのが理想ですが、普段健康に過ごしていると生命保険に加入するきっかけなんてなかなかありませんよね?
脳梗塞になってしまうと、高額療養費制度を使ったとしても数万円~数十万円ほどの治療費や入院費がかかりますし、退院してからもリハビリに通ったり定期的に通院が必要なケースもあり、いつまで続くか分からない通院費などの支払いに頭を悩ませた方も多いのではないでしょうか?
一度そういった不安を経験してしまうと、今後に備えて生命保険に加入して抜かりなく準備しておきたいと考えるのは自然なことですよね。
今回「終活.net」では、
- 脳梗塞後にも生命保険に加入できるのか
- できるとしたらどんな条件があるのか
- 三大疾病特約とは
といったことについて解説していきたいと思います。
脳梗塞を発症すると生命保険加入が難しい
結論から言うと、やはり脳梗塞発症後の生命保険への加入はかなり制限されてしまいます。
では、なぜ脳梗塞が発症したら生命保険の加入が難しくなるのでしょうか?
脳梗塞は再発の可能性が高く、また後遺症も残りやすいため、というのがその理由です。
保険会社としてもリスクは避けたいといったところでしょうか。
脳梗塞になると脳に後遺症や障害が残る?
脳梗塞の治療は時間との勝負です。
発症後3時間以内に治療できれば緩和するようですが、時間が経てば経つほど重い後遺症が残る危険性があります。
脳梗塞の後遺症には、麻痺や細かい動作ができなくなるなど身体に現れるものの他に、言語障害や認知障害、人格が変わったようになる高次機能障害など、日常生活に支障が出るものがたくさんあります。
さらに、脳梗塞は再発率が高く、再発すると重症化しやすいのも大きな問題です。
再発した脳梗塞では、新たに後遺症として何らかの障害が加わることが考えられます。
そのため介護者にかかる負担も大きく、補償は手厚いものでなければなりません。
保険会社としても資金を回収できないうちに大金を支払うかもしれないと分かっていて、すんなり受け入れるわけにはいきませんよね。
保険会社の立場を考えると、脳梗塞発症後の生命保険への加入が難しいのも頷けます。
脳梗塞でも加入できる生命保険は?
生命保険の加入が困難であることは理解できますが、それでもやっぱり保険には加入したいですよね?
一般の生命保険でほとんどの場合、既往症に脳梗塞があるだけで断られてしまうことが多いようですが、脳梗塞を発症し、その後再発や投薬などもない状態で3年や5年などある程度年数が経っていれば、一般の保険でも加入できる商品はあるかもしれません。
最初からあきらめずに何社か相談してみることが大切です。
一般の保険がダメでも、引受基準緩和型保険や無選択型保険というものもあります。
詳しく見てみましょう。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険とは、加入するための健康に関する条件を緩和している保険です。
限定告知型とも呼ばれ、告知する項目が少なくなっているものもあります。
主に持病がある方に向けた商品で、いくつかの保険会社が取り扱っていますが、緩和される条件や告知する項目は保険会社や商品によって違うので要注意です。
健康状態について審査のハードルが低く、持病があっても加入しやすい引受基準緩和型保険ですが、保険料は一般的な保険の掛け金と比べて割高です。
また、保障金額が低めに設定されていたり、加入後1年以内に手術が必要になった場合には給付金が半額になったりと、一般的な保険よりも保障内容が限定されています。
保障内容に関しても、各会社や商品で異なります。
契約の際には細部までよく目を通し、十分検討しましょう。
無選択型保険
引受基準緩和型保険でも審査が通らない時は、無選択型保険というものもあります。
通常生命保険に加入するために必要な健康に関する告知や意思の診査がいらない、誰にでも入れる保険がこの無選択型保険です。
無選択型保険は引受基準緩和型保険よりさらに加入のハードルが低く、保険料もかなり割高となります。
保障の内容はさらに制限され、既往症の再発による入院・手術は保障の対象外になります。
払い込み総額が給付金を上回ることもあるので、保険の加入はせずに貯金に回すのも賢いやり方かもしれません。
脳梗塞になると住宅ローンが適用されない?
脳梗塞になって支払いに困るのは医療費だけではありません。
住宅ローンが残っている場合、一家の大黒柱が脳梗塞で倒れてしまったら、家族は住む家を失ってしまうのでしょうか?
住宅ローンを組む時、団体信用生命保険に加入することが条件になることもあるので、多くの方が団信に入っていると思います。
返済中に債務者が死亡してしまった場合は、団信からローンの残高が支払われるため、家族はその家に住み続けることができます。
しかし、住宅ローンの返済が難しくなるのは、債務者が死亡した時だけではありませんよね。
脳梗塞などの大きな病気で働けなくなった場合も、ローンの返済は重くのしかかります。
そこで注目されてきたのが三大疾病保証付きのローンです。
三大疾病保証付きローンなら、脳梗塞を発症して住宅ローンが返済できなくなったとしても、支払いが免除されます。
もしもに備えてぜひつけておきたい人気のローンですが、既に加入している保険があれば、その保障内容と照らし合わせる必要があることと、一旦つけてしまうと後ではずすことができないので、慎重に考えたいですね。
三大疾病特約を確認しよう
ではここからは、住宅ローンにも保障がつくほどの重大な病気である三大疾病と、それらに備えた三大疾病特約について解説していきたいと思います。
三大疾病とは?
三大疾病とは、
- 悪性新生物(がん)
- 急性心筋梗塞
- 脳卒中
この3つの病気を指します。
がんは、言わずと知れた日本人の死因第一位の病気です。
種類によっては早期発見で助かる確率も増えているとはいえ、見つかりにくい箇所にできることもよくあり、発見が遅れると治療は困難になります。
急性心筋梗塞は、心臓に栄養を送る冠動脈という血管が突然詰まる病気です。
時間が経つにつれ細胞がどんどん壊れてしまうため、こちらも初期の対応が生死を分けます。
脳卒中は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血をあわせた総称です。
寝たきりになる原因の3割近くを占め、全医療費の1割近くが脳卒中の診療に費やされるほど日本人に多い病気の一つです。
三大疾病特約とは?
日本人の死因のおよそ半数がこれら三大疾病によるものです。
三大疾病は治療が長引くことが多く、治療費もかさみます。
そこで、三大疾病に対する特約を付帯する保険商品が売られるようになりました。
三大疾病特約を追加すると、給付金が上乗せされたり、一時金がおりたりと、保障を手厚くすることができます。
三大疾病特約の種類
三大疾病特約には大きく分けて3種類あります。
- 三大疾病一時金支払特約:三大疾病になったら一時金が支払われる
- 三大疾病支払日数無制限特約:三大疾病により入院したら入院日数が無制限に保障される
- 三大疾病保険料払込免除特約:三大疾病になったら保障はそのままで以降の保険料の払い込みが免除される
心筋梗塞や脳卒中では、60日ルールというものがあり、疾病の診断を受けてから60日以上労働が困難などの所定の状態が続いたときに一時金が支払われるということが多いです。
この時支払われるのは最大60日分と上限が定められているのが一般的です。
脳梗塞の保障額の相場
脳梗塞の保障額は、商品によって幅があり、10~200万円と言われています。
先述の三大疾病支払日数無制限特約であれば、60日以上入院が続いた場合も保障してもらえるので、給付金は高額になりますね。
特約で給付金がおりる条件は厳しい
三大疾病特約には必ずと言っていいほど「所定の状態になられたとき」のみ支払うと注意書きがあります。
所定の状態というのは、がんであれば悪性腫瘍との医師による診断確定がされたとき、心筋梗塞や脳卒中であれば先ほどの60日ルールであることが多いです。
悪性腫瘍ということは、早期発見の軽いがんではありません。
急性心筋梗塞の平均入院期間は20日程度です。
脳卒中は後遺症が残りやすいので入院も長引きがちですが、脳卒中の中でも保障されるのは脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3つのみです。
三大疾病にかかっても、まず所定の状態になることがなかなかありません。
とは言え商品によっては例外もあるので、いつどんな時にどのくらい支払われるのか、しっかり確認することが大切です。
脳梗塞と生命保険〜まとめ〜
脳梗塞と生命保険について解説してきましたが、いかがでしたか?
最後に要点をまとめておきましょう。
- 脳梗塞発症後は再発のリスクが高いため生命保険への加入が難しい
- 脳梗塞後でも引受基準緩和型や無選択型の保険なら加入しやすい
- 三大疾病特約付きの住宅ローンなら脳梗塞後は支払いが免除される
- 三大疾病特約はがん、急性心筋梗塞、脳卒中を手厚く保障できる生命保険のオプション
- 特約の給付金が支払われることはあまりない
脳梗塞は発症すると保険会社への加入のハードルが上がってしまうことは否定できませんが、全く入れる保険がないわけではありません。
万が一に備えることはとても大切なことです。
特約にも保険会社によって条件は色々ありますので、必要なものを見極めて納得のいく保険が見つかるといいですね。
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